沼底その2

ちまちまねんどろいどを愛でるブログ

仏教と刀展行ってきました

薬師寺で5月8日まであった「噂の刀」展と「仏教と刀」展。今回は「仏教と刀」展の方を。

仏教と刀展

展示場所

展示場所は「噂の刀」展があった聚賓館のお隣り大宝蔵殿。
建物としてはこちらの方が古いのではないかと思われます。
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↑建物の前で育てられていた蓮の花。
もう少ししたら見頃ですね。

仏具とか仏像とか四天王像とか台座とか

お寺さんの方のきっとメイン展示がこちら。
これがまた迫力ある四天王やら、丁寧に作り上げられた蓮座やらが展示されていました。
蓮座は蓮座だけなんですが、その空いた空間に何かしらがいるような存在感がありまして。不思議な展示でした。
薬師寺の講堂の方に釈迦の足跡石というのが展示してあった影響かもしれません。ごくごく最初の頃の仏教っていうのは今のイスラム教のように偶像崇拝に忌避感があったとかで、釈迦の足跡を写したもの拝んでいたんだそうです。

四天王といえばすこし話が戻っちゃうんですが、「噂の刀」展があった聚賓館にもかなり古い四天王像が展示されていました。木に彫刻したものだと思うんですが、こちらの像の躍動感が半端なかったです。
ほんとに、翻る裾の先の先まで躍動感にあふれた素晴らしい彫刻でした。好き嫌いで語ってよければ、一番好きな四天王像でした。
……実は解説読み忘れたんですけど、この展示されてた四天王像って東塔のだったりするんでしょうか。

そうそう、あまりのインパクトに騒然となったあの二刀流のお坊さんの写真。あれは密教での厄払い?の儀式の風景だったんですね。大変失礼いたしました。

倶利伽羅竜特集でした。

まず倶利伽羅竜とは何か、という説明から始まって、これを刀に彫る意味、楷書行書草書のように彫り方にも種類があること(それぞれ、「真」「行」「草」というそうです)、などが解説されていました。
そして実例となる倶利伽羅竜の彫られた刀がずらり。
中には仏像を鞘として収める刀なんていう変わり種の展示もありました。

展示内容が展示内容なのでついつい刃そのものよりも彫り物ばっかり見てきてしまったんですが。それにしてもだ。
透かし彫りって、それは刀として大丈夫なんですか。
彫り物としてはほんとに素晴らしい躍動感と質感にあふれた彫刻のされた刀が展示されてたんですが。実用品としてそれは大丈夫なのかと気になって仕方ありません。

そうそう、倶利伽羅竜の彫刻については
刀身彫り:草の倶利伽羅の研究
こちらのサイトが丁寧でわかりやすかったです。
こちらのサイトを拝見して「そうなのか」と思ったのが、倶利伽羅竜なり梵字なりを刀身に彫る理由です。面白いです。

写しについて

こちらでひとつすごく興味を惹かれたのが、現代の刀工による昔の名工の写し。
展示ではその写しと本科の短刀が並べて展示されていました。
山姥切国広の自己紹介にもあることから「写し」って言葉に反応するとうらぶ者は多いと思われます。
私もそうなんですが、その後刀の作り方を知るにつれ疑問が湧いてきました。
刀における写しというのは何を写すのか?
全体の形止まりなのか、刃紋も含むのか、鍛造中の伸ばし方、重ね方、叩き方にまでいたるのか。

本科はいかにも重くて切れそうな黒鉄の地に白く刃紋が浮かび出る感じ。
形は、茎からすっきりと刀身が伸び、切っ先が短刀としてはやや長めな、尖り気味な印象。
色合いといい、どことなく貫禄を感じさせる佇まいでした。
ちなみにこの本科こそが透かし彫りの技術まで駆使して彫られた真の倶利伽羅でして、竜のウロコ一枚一枚に至るまで丁寧に緻密に彫られた倶利伽羅は大変躍動感にあふれた素晴らしい彫刻物でした。
でもさっきの繰り返しになりますけど、透かし彫りまでしちゃって強度に問題はないんでしょうか。

に、対して写しの方では。
切っ先が少し長めのバランス(丸くない)はそのまま。
刃紋を出す泥のかけ方は、さすがにそのままというわけではなくタッチを真似た感じ。
ただ、刃そのものは随分小さくつけていたように見えました。
倶利伽羅竜は「草」の彫り方。
地金? 刃のついてない峰側は白鉄と呼びたくなる明るい色合い。真新しい感じでした。

さて、ではどこを真似てるかという話なんですが。
まあまず形ですよね。茎も含めてよく似てました。
それに一応泥のかけ方?
材料に関しては、これは真似ることは無理だろうから除外。
地が、板目なのか柾目なのか杢目なのかはもうさっぱり。
ということから形と泥のかけ方かなと考えましたが、実際はどうなんでしょうね?

黒漆の鞘

あともうひとつ目を引いた展示が、遺跡から出土した(?)黒漆仕上げの鞘です。
当たり前ですが、かなりボロボロでした。
いや、そのはずなんですよ。本来の漆仕上げはまともに世話してなければこれくらい曇ってボロボロになってしまうはずなんです。
そう考えるとあちこちで見た漆塗りの展示物、たとえばにっかり青江の朱色をベースにした金梨地の拵えとか、今もあの艶を保ってるのってとんでもないことですよね……。


薬師寺

話は前後しますがお参りさせていただいてから刀拝見してきました。
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こちらは中央の金堂。
西塔についで建てなおされたとかで、だいぶ真新しい印象です。

お参りしてみて親切だなあと思ったのが、主だった仏像の前にはどういう真言を唱えたらいいかの案内があったこと。かといってニワカが唱えるのはほんと申し訳ない気がしたんですが、一応唱えさせていただきました。

西塔

ちょうど西塔の御内陣を見せて戴けたので、見てきました。
ちょうどタイミングが合ったからって言ってもこれものすごいなかなかない機会だったんだろうなと今更ながらに思います。

西塔には釈迦の生涯を8つに分けた釈迦八相と言われるものの、後半四相の像が祀られています。
……というか、昔、西塔が建立された頃は祀られていたようです。が、年月や歴史的なあれこれのうちにかけらを残して失われてしまったのだとか。
そこで現代の彫刻家の方に彫り直してもらったのが現在の像なのだそうです。
だからでしょう。描き方が非常に現代的、むしろ西洋宗教画的で、こう言ってはなんですが非常に馴染みやすいお釈迦様の像でした。

ちなみに前半の四相は現在再建中の東塔の方におさめられているようです。こちらも再建がなったら見せていただければなあと思います。
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再建中の東塔。
姫路城の修復を思い出させる姿ですね!

玄奘三蔵院伽藍

せっかくなのでこちらもお参りさせていただきました。
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玄奘塔。
堂々と掲げられた「不東」の文字が、シンプルなだけに結構胸に来ました。
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なお、手すりやら垂木の先やらはこんな感じで金属板?が貼られています。
しかしこうして見るとすごく中華っぽい。

そうそう、大唐西域壁画殿には平山郁夫氏による玄奘三蔵法師の旅した場所の風景が壁画として飾られていました。ちょっとお伽話っぽいタッチで描かれてるのが今風だなあと。
西塔の釈迦八相といい、こうして現代の芸術が未来に受け継がれていくのかもしれないと思うとちょっと面白いですね。

以上

噂の刀展と仏教と刀展でした。
1日で山程刀見せてもらってパンクしそうだと思ったのがひとつ。
単眼鏡欲しいと思ったのがもう1つ……!
メモも入りますね絶対ほんと。でないと忘れますねもったいない。

ところで後悔していることが。
ここまで来たら石切神社も行けばよかったです……!